栄養士コラム
第23号 食事指導の何故なぜ??に対応 その11
2023-03-03
病院での栄養指導で、患者さんに、より理解してもらう工夫は永遠の課題であり、これは今でも現在進行形です。指導で心掛けていることは発する情報に「それは何故?」と返された時に、きちんとその根拠、理由を理解して伝えることです。基本となる食事病態の関わりについて、患者さんから「何故?」の対応を連載でご紹介しようと思います。
【嚥下障害のある方には離水に注意】
嚥下障害のある方には食事形態などを考慮し、気管支などへの食事の混入などの誤嚥などを防ぐことはとても大切です。
食べることの行動は、①食物を取り込む、②咀嚼する(唾液と混ぜて食塊を作る)、③飲み込むの動作で行います。
良かれと思って細かくしただけの食事では、この食塊を作ることがしづらく、逆に咀嚼回数や嚥下回数が増えることもあります。そこで、必要に応じてとろみをつけたり、あんかけにしたり、ソフト食などにしたりします。
また、食事を摂っていくうちに、お粥やとろみをつけた料理が水っぽくなったりすることがあります。これは唾液に含まれているアミラーゼがスプーンなどについて、でんぷん質を分解しすることで発生します。誤嚥を防ぐ際には、状態の均一性が求められますので、このような離水状態の食事は誤嚥の危険度が高まります。離水しにくいとろみ剤などの活用もありますが、違ったスプーンなどで取り分けて食事をすることで回避も可能です。食事介助するスタッフなどと情報共有して、誤嚥の負担がかからない提供を目指していきたいですね。
このように患者さんたちに伝えることを自分なりに理解することで、野球のバッターのようにどんな変化球が来ても、対応できるよう備えることが少しでも可能かと思っております。⚾⚾⚾
毎日の生活ではいろいろな変化球が飛んできます。時にはデッドボールも飛んでくる中で、備えの大切さを痛感しております。