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栄養士コラム

栄養士コラム

第18号 食事指導の何故なぜ??に対応 その9

2022-03-30
病院での栄養指導で、患者さんに、より理解してもらう工夫は永遠の課題であり、これは今でも現在進行形です。指導で心掛けていることは発する情報に「それは何故?」と返された時に、きちんとその根拠、理由を理解して伝えることです。基本となる食事病態の関わりについて、患者さんから「何故?」の対応を連載でご紹介しようと思います。

【何故?肝硬変(非代償期)の食事では低蛋白食なの?】
肝硬変の状態は機能が低下してもその機能を維持している代償期と機能が低下し機能を維持ができなくなり、症状発症してくる非代償期に分けられます。そしてますます機能が低下した状態が肝不全です。
この肝硬変(非代償期)や肝不全の状態では、体内のアミノ酸バランスが崩れて、高アンモニア血症や肝性脳症などが発症します。

フィッシャー比とは分岐鎖アミノ酸(BCAA)/芳香族アミノ酸(AAA)の割合で、肝硬変(非代償期)や肝機能低下ではその数値が低下します。低下したフィッシャー比を高め、状態改善をはかるためにBCAA製剤が治療で使われます。また、この治療の際の食事の対応では低蛋白食が推奨されます。
これは普段食べている食事ではBCAAを強化した食品が少ないのに加え、蛋白質の過剰摂取がAAAなどを増加させてしまう事にもよります。そこでフィッシャー比の増加にはBCAAを補充しつつ通常の食事では低蛋白とし、総計で補充すべき蛋白量(アミノ酸量)を補充していく考え方です。

このことを説明するときに、よくお風呂を沸かしすぎたときの対応を例えます。
熱くなりすぎたときに水を補充してぬるくしようとしても、一杯になったお湯に水を注ぐだけでは水はあふれて効率は良くありません。そこで、お湯を抜き、そこに水を加えることで効率よく対応できます。
今回のBCAAと併用している低たんぱく質の食事の同じ理屈です。一日で必要な蛋白質量は風呂おけに入る容量、熱いお湯はAAA、水はBCAAの役割です。

このように患者さんたちに伝えることを自分なりに理解することで、野球のバッターのようにどんな変化球が来ても、対応できるよう備えることが少しでも可能かと思っております。⚾⚾⚾
毎日の生活ではいろいろな変化球が飛んできます。時にはデッドボールも飛んでくる中で、備えの大切さを痛感しております。
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